ジントニックの心

 店内はオレンジとブルーの照明が交差してカウンターの後ろのボトルケースを照らしていた。
おいら達はカウンターに座りジントニックとバイオレットフィーズを注文した。
 バーテンはイケメンの男だった。
 カシャ、カシャとシェイカーを振ってフィーズを女の前におく
「あれーS子じゃない、久しぶり」
おいらはこの女が初めてS子という名前だということがわかった。
S子はおいらに気を使っているのだろうか、あいまいな返事をした。
 このバーテンは顔はいいかもしれないがバーテンとしては三流だとおいらは思った。
たとえ女を知っていても、男と一緒にいるときは相手から声をかけてきた時以外は、こちらから声をかけないのがバーテンダの心構えだということをこの男は知らない、教えとやろうかと喉まで出かかった言葉を飲み込み変わりにジントニックを飲んだ。
 
 


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