丸太の遊び

 随分遠くまで来たような気がする。
無数の赤とんぼがおいらの周りに飛ん
でいる。
 いつか昔に見たような、懐かしさだ。
夕焼け空はオレンジ色に染まっていて、
まるで赤とんぼがその光の色を作って
いるようだ。

大きな丸太がごろごろと転がっている。
おいらはその丸太の上でもう一人のおい
らと、ゴロゴロとその丸太を動かし、丸
太から落ちたら負けというゲームをして
いた。

よく見えなかったが、下を見ると見たこ
ともない草が絨毯のように敷き詰めてい
た。

『よかった』と思った。
何故か下が溜めてある水だったら、落ち
てしまえばもう二度と、あがることが出
来ないのではないだろうか、そんなこと
が、頭をよぎった。

丸太は少しずつ動き、だんだんと大きく
動き出し半回転近くまでになった。もう
少し足に力を入れれば一回転してしまう
だろうと思ったとき、ゆっくりと丸太は
回転した。ゴロンと、もう少しでおいら
はその丸太から落っこちそうになる。
やっとの思いで体勢を整え、もう一人の
おいらを見た。もう一人のおいらは何事
もなかったように笑っていた。その笑顔
を見ると何故か悲しみが、込みあがって
きた。


なんなんなのだ。これは、幼いときに感
じた、この感情は確かに覚えているもの
だった。



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